JABEE認定審査への取り組み
近年、環境問題・エネルギー資源問題、また高齢化といった社会問題が多様化・深刻化しています。 大分大学工学部 機械・エネルギー工学科 機械コースでは、豊かな創造力と応用力を備え、開発・設計・製造などの過程を通して、機械工学という観点から社会貢献可能な技術者の育成を行ってきました。すでに多くの卒業生が社会で活躍しています。
一方、機械技術者の活躍の場が急速に国際化する中で、機械工学プログラムのカリキュラム、また、卒業生の持つ知識や技術について、一定の基準を満たしている、ということを客観的に示し、保証することが必要となってきています。
そこで、機械コースでは第三者機関におけるカリキュラム認定の一つとして、日本技術者教育認定機構(JABEE: Japan Accreditation Board for Engineering Education)による審査を、平成27年度に受審することとしました。 機械工学プログラムの本ページでは、受審までの準備状況、また学生の皆さんに発信したい情報を公開しています。
JABEE認定について
JABEE認定とは、JABEEが第三者機関として、大学等の高等教育機関で実施されている技術者を育成する教育プログラムが社会の要求水準を満たしているかを国際的な同等性を持つ認定基準に基づいて認定するものです。 つまり機械工学プログラムのカリキュラム(以下、教育プログラム)および卒業生(JABEE修了生)の質を保証するものです。
参考サイト:日本技術者教育認定機構のページ(http://www.jabee.org/)
機械工学プログラムの教育プログラムが認定を受けた場合には、修了生は専門的な知識と技術を身につけた実践的技術者であることが保証されます。 修了生は「修習技術者」と認定され、機械技術者としての能力を認定する国家試験・技術士資格試験の第一次試験を免除され、申請により、技術士補となることができます。通常であれば卒業後に就職して働きながら、学科試験からなる第一次試験の準備をする必要があり、それを免除されることは大きなメリットです。
参考サイト:日本技術士会,JABEEコース修了者のページ(http://www.engineer.or.jp/c_topics/000/000373.html)
ただし、学生の皆さんにもお願いすることがでてきます。 これらは、ガイダンス等で説明させていただきますが、JABEEでは教育機関に対して、教育の質や量の継続的な向上努力を求めます。 それと同時に、卒業前のプロセスで、到達度が不十分なままで修了させていないか、ということも点検されます。そのため教育機関、つまり機械工学プログラム側だけの努力ではなく、学生の皆さんにも意識的に努力をしていただき、その結果として相互に協力し合い、国際的に活躍できる技術者を送り出す学校および技術者、つまりは学生の皆さんを育ててゆきたいと考えています。
学習・教育到達目標について
学習・教育到達目標
機械工学プログラムの教育プログラムにおける学習・教育到達目標を示します。これは,修了生が卒業時に身につけている知識・技術・素養として保証するものです.
- A 機械工学に関わる基礎知識の深化
- A-1 自然科学の幅広い分野の知識を修得し、説明できること。
- A-2 機械システムに関する専門分野の知識・技術を修得し、説明できること。
- A-3 実験・実習をとおして基礎知識の理解を深めるとともに、関連した技能や手法を修得し、説明できること。
- B 自己表現力とコミュニケーション能力の育成
- B-1 発表や討論・記述をとおして、自分の考えを相手に表現できること。
- B-2 発表や討論をとおして、相手の考えや知識の相互理解ができること。
- B-3 英語を用いたコミュニケーションができること。
- C 情報技術を活用する能力の育成
- C-1 機械技術者に必要な情報を収集できること。
- C-2 情報を整理し、秩序だった方法でまとめ、提示できること。
- D デザイン能力の育成
- D-1 修得した知識や技術、獲得した情報を用い、課題を明確にとらえ、複数の解決策を考え出せること。
- D-2 複数の解決策を多面的に分析・評価し、制約された条件下で最も適切な手法について、実行計画を立案できること。
- D-3 適切な方法を用いて、要求された機械システムを制作し、評価できること。
- D-4 グループ作業において、自らがなすべき役割を総合的に判断し、課題解決に向けて協調的な行動ができること。
- E 社会に対する責任を理解しその発展に貢献可能な人材の育成
- E-1 技術者に必要な広い視野と教養を身に付け、地球上の多様な歴史観・文化・習慣の違いを理解できること。
- E-2 倫理的・経済的および安全上の考察に関する理解を深め、技術が社会や自然に及ぼす影響を理解し、説明できること。
- E-3 技術者として、社会に対する責任を自覚しながら意見を述べられること。
- F 未知の課題へ展開する能力の育成
- F-1 機械技術や関連した分野において、新たな課題を自ら探求することができること。
- F-2 問題を整理し、多面的な考察をすることによって、有効な解決手段を見極められること。
- F-3 新たな課題に求められる知識や技術について、自主的・計画的・継続的に自己学習できること。
学習・教育到達目標とJABEE基準の対応
表1は機械工学プログラムの学習・教育到達目標とJABEEの基準で定められた、学習・教育目標基準との対応関係です。この表が示すように機械工学プログラムの学習・教育到達目標は、JABEEの基準を包含したものとなっています。
