
非比例多軸負荷とは主応力や主ひずみの軸方向が時間とともに変化する負荷形態で、機械や構造物で頻繁に見られます。非比例多軸負荷を受ける材料の低サイクル疲労寿命は、主応力や主ひずみの軸方向が時間とともに変化しない単軸負荷や比例多軸負荷を受ける場合と比べて、著しく低下することが知られています。したがって、機械や構造物の安全性や信頼性を保証するためには、非比例多軸負荷の影響を考慮した材料の低サイクル疲労強度評価法が必要となります。そこで本研究では、非比例多軸負荷の影響を考慮した材料の低サイクル疲労強度評価法を確立するための基礎研究を行っています。 また、CO2の排出を伴わない極めてクリーンな再生可能エネルギーとして水素が注目されていますが、水素は金属材料の疲労寿命を著しく低下させる「水素脆化」を引き起こすことが知られています。そこで、金属材料の低サイクル疲労強度に及ぼす非比例多軸負荷と水素脆化の相互作用の影響に関する研究についても行っています。